INCOME

きゅうり農家の収入の決まり方

「きゅうり農家は儲かるのか」。その答えは、収量・単価・経費という3つの数字がどう動くかで決まります。産地で集荷を行う立場から整理しました。

ANSWER

収入は「収量 × 単価 − 経費」で決まる

きゅうり栽培の手取りは、どれだけ採れたか(収量)にいくらで売れたか(単価)をかけ、そこからかかった費用(経費)を引いたものです。式そのものは単純ですが、3つの性質はまったく違います。

収量と経費は、自分の判断である程度コントロールできる数字です。一方で単価は、自分では決められない数字です。「同じように作っているのに、年によって手取りが違う」と感じる原因の多くは、ここにあります。

そのため、収入を考えるときは「平均でいくら稼げるか」よりも、3つのうちどれが動きやすく、どこなら手を打てるのかを分けて見るほうが現実的です。以下、順番に整理します。

FACTORS

3つの数字は、動き方が違う

  1. 収量 ― 作型と管理で変わる

    面積あたりどれだけ採れるかは、作型(夏秋・冬春)、品種、土づくり、温度やかん水の管理、病害虫への対応で変わります。手をかけただけ結果が返ってきやすい部分であり、同時に、天候や病害虫の発生で計画どおりにいかないこともある部分です。

  2. 単価 ― 自分では決められない

    市場では、その日に集まった量と買い手の数で値段が決まります。天候が良く各産地の出荷が重なれば単価は下がり、量が減れば上がります。品質を高めても、相場そのものが下がっている日は手取りが伸びません。

  3. 経費 ― 相場に引きずられる部分がある

    資材費・燃料費は、自分の使い方だけでなく相場でも動きます。とくに冬春作の暖房にかかる燃料費は、同じ栽培をしても年によって負担が変わります。節約だけで吸収しきれない年がある、という前提で見ておく必要があります。

COST

主な経費の内訳

区分主なもの動きやすさ
種苗費苗、種、接ぎ木苗作付け計画でおおよそ決まる
資材費肥料、農薬、培土、誘引資材相場で動く。使用量は管理で調整できる
燃料費ハウスの暖房用燃料、機械の燃料相場と気温で大きく動く。冬春作ほど影響が大きい
施設費ハウスのビニール更新、設備の修繕数年に一度まとまってかかる
包装資材費段ボール、袋、テープ、フィルム出荷量に比例する
労務費収穫・選果・荷造りの人手収穫最盛期に集中する
出荷経費出荷先までの運賃、販売手数料出荷先と距離で決まる

見落とされやすいのが労務費と出荷経費です。収穫量が増えるほど、採る・選ぶ・箱に詰めるという作業も増えます。収量を上げたのに手取りがあまり変わらない、という場合、増えた分がこの2つに吸収されていることがあります。

RISK

収入が読みにくくなる場面

きゅうりは収穫期間が長く、出荷が毎日続く品目です。そのぶん、次のような場面で見通しが立てにくくなります。

  • 出荷の最盛期が各産地で重なるとき。量が一気に増え、単価が下がりやすい時期です。もっとも採れている時期に、もっとも単価が低いということが起こります。
  • 天候が続けて荒れたとき。収量そのものが落ちます。単価が上がっても、出すものがなければ収入にはなりません。
  • A品に揃わなかったとき。曲がりや太さで規格から外れた分は、出荷先がないと手取りになりません。
  • 燃料や資材が値上がりしたとき。売り先の価格はすぐには動かないため、負担が先に増えます。

いずれも、つくり方の問題ではなく、売り方と出荷先の設計の問題である点が共通しています。

HOW

手を打てるのは「売り方」の側

単価そのものは動かせませんが、単価の決まり方は選べます。考え方は大きく2つです。

ひとつは、出荷する前に条件を決めておくこと。価格と規格をあらかじめ決めて取引すれば、相場の上下をそのまま受けずに済みます。作付けの段階で見通しが立つため、資材や人手の計画も組みやすくなります。これが契約栽培です。全量を契約にせず、一部だけ契約にして残りは市場に出す、という組み合わせ方もできます。

もうひとつは、規格ごとに出荷先を分けること。曲がりや大きさでA品にならないものでも、カットして使う業務用・加工用であれば問題なく使えることが多くあります。出荷先を分けておくと、採れた量のうち手取りに変わる割合を上げられます。

出荷をご検討の方へ

出荷前に条件を決める、という選択肢

価格の決まり方、対応できる規格、相談から取引開始までの流れをまとめています。

きゅうりの契約栽培とは
FAQ

収入についてよくある質問

きゅうり農家の収入はどのように決まりますか?
「収量×単価−経費」で決まります。収量は作型・面積・栽培管理で、単価は市場での需給で、経費は資材費・燃料費・人件費などで決まります。このうち単価だけは自分では決められないため、収入が読みにくくなります。
きゅうりの単価はなぜ日によって変わるのですか?
市場では、その日に集まった量と買い手の数で値段が決まるためです。天候が良く各産地の出荷が重なると量が増えて単価は下がり、天候不順で量が減ると単価は上がります。同じ品質のものを出荷しても、日によって手取りが変わります。
きゅうり栽培の主な経費には何がありますか?
種苗費、肥料・農薬などの資材費、ハウスの暖房にかかる燃料費、ビニールや誘引資材の更新費、出荷用の段ボールやテープなどの包装資材費、収穫・選果にかかる人件費、出荷先までの運賃や手数料などです。燃料費と資材費は相場で動くため、同じ栽培をしても年によって変わります。
収入が読めない状態を少しでも減らす方法はありますか?
出荷する前に価格や規格の条件を決めておく契約栽培という方法があります。市場価格の上下をそのまま受けるのではなく、あらかじめ決めた条件で取引するため、作付けの段階で見通しを立てやすくなります。全量を契約にせず、一部だけ契約にする組み合わせ方もあります。
B品や規格外のきゅうりは収入になりますか?
用途が合えば収入になります。曲がりや大きさでA品にならないものでも、カットして使う業務用や加工用であれば問題なく使えることが多く、出荷先を分けることで収量のうち手取りに変わる割合を上げられます。規格の違いについては規格・等級の解説ページをご覧ください。

関連:きゅうりの契約栽培とは/きゅうりの規格・等級とは/生産者・農家の方へ

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